動画制作

【連載】動画の撮影ノウハウ01_撮影の全体像

文字数
2000文字(4分)
難易度
ふつう

動画制作である意味、最も重要な作業と言える「動画撮影」。
動画編集を簡単にするツールや、編集手順を解説した記事はたくさんあるが、撮影についてはあまり見かけない。
書かれていることは「○○のカメラ性能が良い!」とか「カラーグレーディング」とか、専門的な話ばかり…。

そこで、この連載ではゼロから動画撮影ができるレベルになるまでを、順を追って解説していく。
あなたも読んでいけば「すごい!」と言われる動画撮影ができるようになるだろう。

対象者

・動画制作をはじめたいけど、何から手をつけていいかわからない
・動画撮影の基本について、ゼロからしっかり学んでみたい
・自撮りやテレワークでの映像を美しく撮りたい

そもそも、動画撮影と写真撮影は何が違うのか

この記事にたどり着いた方に、まず聞いてみたい。
「写真と動画、どちらのほうが撮影が難しいと思いますか?」
…ほとんどの人が、当然のように「動画のほうが難しい」と答えるだろう。
これは感覚的にも、実体験的にもそうかもしれない。
しかし、以下のような写真はどうだろうか。

当然のように「簡単には撮影できない」と感じるだろう。
そして「いや、そもそもこういうエモいのじゃない、ビジネス上のインタビューとかYouTubeとか、運動会とかでうまく撮りたいんだ!」となるのではないか。

ちなみに、エモいとは業界人がよく使う表現で「英語の「emotional(エモーショナル)」を由来とした、「感情が動かされた状態」、「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する」らしい。ちょっとキザでうざいけどこれからも出てくるのでお付き合い願いたい…。

そう、その通りである。
おそらく多くの方は、めちゃくちゃハイセンスな動画を撮影したい、と思っているわけではない。

つまり「簡単な写真」は誰でも撮れるが「簡単な動画」は誰でも撮れるわけではない
では、どうして写真と動画で、多くの人が感じるような難易度の差が生まれるのだろうか。

① 音が必要になるかどうか

動画には音声が入る。写真には入らない。
この違いこそが、まず大きく難易度が変わる要因である。

私たちプロが最も気にする要因は、実は映像ではない。音である。
というのも、音というのは、撮り直しが極めて難しいうえ、加工もしづらい素材だからだ。

例えば、一般的なインタビューを違う場所で、2名行うケースを考えてみよう。
当然、場所が違えば、周りの環境音も違う。そして、1人ひとりの声量も違う。
違う画角(近くで撮影したり、遠くで撮影したり)で撮影するとなると、そもそもの距離も違う。
この状態で、均一な音声をとらないと、2人の映像を合成したときに違和感が出てしまうことは自明だろう。

② 手ぶれを意識するかどうか

最近はスマートフォンで撮影する方が大半だと思う。実はスマホには、優れた写真合成技術と、静止画手ぶれ補正機能が入っている。
そのため、なんとなく片手で撮影しても、ぶれてしまう写真というのは大幅に減っているはずだ。
しかし、動画に関してはそうはいかない。
なぜなら、もし手ぶれ補正機能を強くしすぎてしまったら、画面が横に移動するような動きの映像表現も補正により静止されてしまうためである。(以下のような横に移動する動きのことを専門用語で「パン」と言う)

 

つまり、写真のように単に「止めればいい」というわけではないため、どうしても手ぶれ補正に限界が生じるのだ。
しかも写真と異なり、連続性があるため、手ぶれがモロに映像クオリティに影響を与えてしまう。

③ 1カットで完結するかどうか

写真というのは、1枚で基本的に完結する。
プロフィールページに、自撮りした写真を何十枚も載せていたら…ちょっと引くだろう。
だからこそ、1,000枚の中で最も良かった写真1枚(私はこの写真を奇跡の1枚、とよく呼んでいる)を、サイトやFacebookに使う人が多いはずだ。

しかし、動画はそうはいかない。というのも、基本的に動画は”編集”という作業が入ってくる。
1つの撮影素材だけを3分流す動画は、よほど好きなファンなどの映像とかでは無い限り、映像に見飽きてしまい途中で見るのを止めてしまう可能性が高い。
そこで必要になってくるのは”どの部分で、どのような動画素材が必要になるのか?”という基本構成を考える作業である。

例えば、焼き肉を例にとってみよう。
写真であれば、これ1枚でその印象はすべて伝わるだろう。

出典:https://www.gyukaku.ne.jp/menu/karubi.html
しかし、動画ではそうはいかない。試しに牛角のCMをご覧頂きたい。
いったい何個の撮影素材が使われているか…という観点で見ると、実に興味深いのではないだろうか。

 

出典:https://youtu.be/Vnq0OAtQP5o

良い動画撮影のためには、まずは苦手を潰すこと

この3つが、動画が難しく、写真が簡単だと感じる理由だ。なんとなくイメージがついてきたのではないだろうか。
撮影して終わり、ということは、プライベートムービーにはあっても、動画広告にはありえない。
そして仮にプライベートムービーであったとしても、30分で編集できれば、その出来映えや評価は、まるで別物になるだろう。
つまり、動画撮影は撮影が目的ではなく、撮影することによって、いかに良質な「動画編集に耐える素材」を生み出すか、という観点を持つことが重要だ。

では次回から、動画撮影のフローについて、1つずつ学んでいこう。

まとめ

1

動画制作において、一番重要なことは「良い動画素材を集めること」である

2

良い動画素材=動画撮影が必須になるが、写真撮影と比べて難易度が上がる

3

動画撮影では「音・手ぶれ」の2つの点に留意しつつ「素材として」撮影することが肝要である